FAQ

Q:可視光通信とは?

A:可視光通信とは光の波長位置が概ね360nm~760nmの文字通り「目に見える光を使う通信」のことです。

Q:可視光通信の特徴は? 電波と、どう違うのですか? 見えると何が良いのですか?

A:電波は目に見えず、どこから来たのか、どこへ行くのかわからないので以下のような問題があります。

  • 情報の発信元がわかりにくい、検出が難しい(誰が出しているのかわからない)
  • 届く端末の場所を特定しにくい(電波の届く範囲は広くて複雑)
  • 電波では他からの不要な情報も入ってくる
  • 測位に電波を使う場合、反射等で高い精度の位置測定が難しい

一方、通信に「可視光」を使うと

  • 高速伝送が可能で、電波のような帯域制限や法的な制限もほとんど無い
  • 情報の発信元(光の出ているところ)、情報の届く先が目に直接見えるので分かりやすく取り扱いが容易
  • 意図しないところへの光の漏れの検出、遮断が簡単
  • 光源の絶対位置との対応を取ることで高精度の位置測定が可能

また、電波は強いと他の電子機器や人体への影響が、光でも赤外線、紫外線は強いと人体への悪影響(特に目に対する障害)がありますが、可視光ではそれらの恐れがほとんどないことも重要な特徴です。

Q:今、なぜ可視光通信なのですか?

A:大きな理由の一つは、白色LED (Light Emitting Diode 発光ダイオード)の誕生です。照明の歴史を振り返ると遠い昔はロウソクの灯り、近代に入りガス灯が1797年、エジソンの白熱灯が1879年、蛍光灯が1926年に発明され、GaNによる青色LEDが1993年に発明されて白色LEDの発明につながりました。LEDは、それ以前の照明と異なり、目では気がつかないほど高速に点滅でき、通信用の光源として利用できるのです。

Q:LED照明の特徴は? LED照明はどのような社会的・経済的インパクトがあるのですか?

A:LED照明の特徴は、長寿命、省電力、低電圧、コンパクト、調光、点滅が自在、低温度でも効率が低下しない、赤外線紫外線をほとんど含まない、有害物質を含まず環境に優しい、などの特徴があります。その省電力の特徴から、LED照明に置き換わると家庭全体での省エネ・インパクトは大きなものになります。

Q:LEDを通信デバイスとして使うとき、変調可能な周波数帯域、変調速度は?

A:現状の照明用LEDの情報伝送速度(変調速度)の最高速度は、数Mb/秒から100Mb/秒 程度です。しかし、将来はGb/秒の範囲まで使えるようになると期待されています。

Q:可視光領域での受光デバイス(PIN-PD、APD)について、現状と将来について教えてください。光ファイバー通信用(1.5μm帯)デバイスとは感度などの諸特性が違うと思いますが。

A:現状では単結晶Si(シリコン)を用いた受光デバイスが主流になっていますが、このデバイスの感度は赤外領域にわたっているため、可視光用途として利用するにはデバイスの構造を最適化する、赤外カットフィルタを併用するなどの必要があります。特に低波長側の感度が低いため、この部分を電子回路的に補償するなどの工夫が必要です。また、a-Si(アモルファス・シリコン)は可視光領域に感度のピークを持ちますが、高速化に関しては更なる改良が必要です。Si-APDはSiフォトダイオードと同等の分光感度特性を持ちますが、構造的に高感度化が可能なため、様々な用途に使われています。しなしながら、駆動に高電圧が必要であるとともに、取り扱いに注意を要するという欠点があります。
これらのデバイスは、いずれも将来にわたり改良が重ねられ、特性は向上していくものと思われます。特にCCDやCMOSイメージセンサーを可視光向けの受光デバイス(Siフォトダイオードの集合体)と捉えると、画像処理を含めた形での応用が期待されます。イメージセンサーを受信機として用いる場合、そのフレームレートが一般的には遅いため、通信速度はイメージセンサーの速度によって制限されます。
なお、長波長帯の光ファイバー用センサは、Siではなく化合物半導体をベースにしたデバイスが用いられています。また高速化の実現のために、APDタイプのセンサも使われています。

Q:可視光通信での変調方式選定のポイントは?

A:照明などの主たる役割が別にある可視光機器を利用した可視光通信の場合、

  • 変調によってチラツキや明るさの変化などを感じさせないこと、照明器具の発光効率が大きく落ちないこと
  • 赤外線リモコンなど他の電子機器との相互干渉・誤動作・不動作が無いこと
  • 高周波点灯の蛍光灯などからの干渉が無いこと
  • 他のいろいろな光からの干渉を受けにくいこと
  • 帯域の利用効率が良いこと

などを考慮する必要があります。

Q: アップリンク通信手段について教えてください。

A:アップリンク通信はアプリケーションによって大きく変わります。例えば、LED照明から位置情報を受けるナビゲーション等のアプリケーションではアップリンクは一般に不要でしょう。一方、照明光通信を利用した情報シャワー的アプリケーションではダウンリンク方 向に高速大量の情報が流れるものの、アップリンク方向は簡単なコマンド送信でOKでしょう。この場合にはダウンリンク方向には高速・大量通信に適した可視光通信を、アップリンクには他の補助手段(赤外や電波)との組み合わせによるハイブリッド方式などが考えられます。ポイント・ツー・ポイントでの双方向・高速大量通信では双方向とも可視光通信(懐中電灯を向かい合わせるような形)になると思われます。この場合はアップリンク/ダウンリンクの区別はあまり意味がなくなるでしょう。

Q:他の照明(インバータ蛍光灯、他のLED照明)や太陽光からの干渉と軽減対策を教えてください。

A:光の直進性を積極的に利用し、受光素子実装上の工夫(受光角の調整等)等が有効です。受光素子を裸で晒さず、例えば浅い筒状の底面に配置、正面以外の光をカットするだけで、フィルターやレンズなど使わずとも、大幅に干渉光の影響を除去できることが分かっています。

Q:他の無線通信方式と比較(利点・欠点)について教えてください。

A:他の無線通信方式の例として

  • 一般的無線LAN 通信速度:11Mbps(802.11b/2.4GHz帯)~54Mbps(802.11a/5GHz帯、802.11g/2.4GHz帯)。通信距離:数10~数100m、広く普及。
  • Bluetooth 通信速度:721kbps~2.1Mbps、通信距離:数m。

があります。いずれも電波ですから周囲の条件によって到達距離・範囲が大きく変わります。また、目に見えないので実態がわかりにくい、情報の漏洩などセキュリティー上の問題が多いなどの問題もあります。これに対し、可視光はつながり具合も見たままで分かりやすく、セキュリティー上の問題は起きにくいといえます。

Q:人体への影響、安全基準について教えてください。 Eye-safety、眩しさの影響、皮膚への影響など。

A:太陽の光を例に考えればわかるように、光放射(紫外放射、可視放射、赤外放射の総称)は人体に対して様々な作用を及ぼします。紫外放射による皮膚ガンなどもその一例です。そのため光源の安全性のための国際規格があります。

第一は照明器具としての規格です。これはIEC(国際電気標準会議)のTC34専門委員会(光源類及び関連機器)において光生物的傷害の種類に応じて、リスク・グループ区分を行っています。安全性規格は一般照明用光源を対象としたものですが、LED についても安全性の適用範囲に含められています。現在市販されているLEDについて、安全性評価を行った結果、青色LED について、青色光・網膜障害に対するリスクが RG-2(リスク・グループ2)に区分される以外は、全てリスク免除グループに区分されています。

第2は、照明光源としての規格とは別に「レーザの放射安全性についての規格」

  • IEC 60825-1 (レーザ安全性)
  • IEC 60825-12
  • IEC 60825-14

があります。この規格は当初レーザの安全規格でしたが今はLEDも含まれます。民生用機器では、この規格の「クラス1」を守る必要があります(クラス1を超えると、「見つめないで!」などの警告表示が必要となります)。

Q:可視光通信と赤外線通信との比較につき教えてください

A:可視光と赤外線には光の仲間として共通点も多いのですが、可視光通信は照明など、どこにでもある既存のインフラ(照明、ディスプレイ、信号灯火、電子機器の表示など)が利用できること、見えることによりセキュリティー対策が容易で官公庁、会社ほか、情報漏えいに配慮すべき場所に最適であること、アイ・セイフティ問題など人体への影響がほとんど無いこと、さらには見えることによるヒューマンインターフェースの容易性、エンターテインメント性など、さまざまな潜在可能性があることがあげられます。